ミリンダ/メリンバ

ミリンダ/メリンバ  /夏の山
 とおく遥かに海の碧(あお)
  白いさざなみ 風の吹く
 寂れた町へも吹き降ろす
   ちぎれた葉っぱは飛んでゆく//

ミリンダ/メリンバ  /乗る葉っぱ
 とおく遥かに荒れた空
  雷ゴロゴロ 光る音
 野山へにわかに蔽う雲
   風はたちまち秋の色//

ミリンダ/メリンバ  /泣き出した
 たなびく空の魔の翳り
  大粒の雨 落ちてきて
 葉っぱは流れる川の瀬に
   沈む虫けらもがく翅(はね)//

ミリンダ/メリンバ  /抱き合った
 雲の合間に射す光
  雨は過ぎ去り 澄んだ空
 泥にまみれた蜻蛉(せいれい)の
   朽ちた夏の日すぎて行く//

ミリンダ/メリンバ  /秋の空
 甘い刹那もにぎわいも
  虹とともに 消え去って
 小さなかなしみ埋めた場所
   ながれ過ぎゆく白い雲//

ミリンダ/メリンバ  /思い出は
 波打つ未来の引き潮に
  砂に残った 貝殻の
 寂しい蛻(もぬけ)の殻一枚
   夢を残した真珠色//
 
ミリンダ/メリンバ  /風の歌
 とおく遥かに歌う声
  秘めた祈りは 子らの手に
 消さずに残した落書きの
   やがて詩となり木霊する//